産業医 コラム

日頃の小さな積み重ねが大切です~冬場の感染症予防対策~

2021年10月6日

冬は気温が下がり、空気が乾燥することでウイルスが空中に飛散し活動しやすい環境になります。乾燥した空気を吸うため口腔粘膜も乾燥しウイルスの侵入を容易にしてしまいます。インフルエンザは湿度が50%以下になると流行が始まります。例年、冬場に増える感染症として紹介しているインフルエンザ、ノロウイルスに加え、昨年度から引き続き新型コロナウイルスについても紹介します。

 

1.インフルエンザ

インフルエンザの症状は?
インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。1~7日の潜伏期間の後、突然発症し、38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れるという特徴があります。日本では例年12月から3月が流行シーズンです。症状は、通常2、3日持続しますが、5日を超えることもあります。また、高齢者や小児、あるいは肺や心臓などの持病のある方が感染すると、重篤な合併症を併発する危険があります。

ワクチン接種で予防を
インフルエンザを予防する有効な方法として、流行前のワクチン接種があげられます。インフルエンザワクチンは、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効と報告されています。国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34-55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。ワクチンは、接種してから効果を発揮するまでに約2週間かかります。流行期間が12~3月ですから、11月中旬頃までには接種を終えておくと良いでしょう。もちろん、かぜに対する効果はありません。

インフルエンザに罹ったら
早期に治療し、体を休めることは自分の身体を守るだけでなく、インフルエンザの拡大を防ぐ意味でも大変重要なことです。
<一般的な注意点>
・かぜだと考えずに、早めに医療機関を受診して治療を受けましょう
・安静にして、休養・睡眠をとりましょう
・水分を十分に補給しましょう

インフルエンザに罹ったらどのくらい休めばいいの?
職場復帰では決まった規則はありませんが、ソフトバンク(株)では「発症後5日間かつ解熱後2日間は自宅待機」を推奨しています。無理をせず十分に体力が回復してから復帰するようにしましょう。

 

2.ノロウイルス

ノロウイルスの症状は?
・潜伏期間は24~48時間
・症状は下痢・腹痛・嘔吐など消化器症状
・38度台の発熱があることもあるが長くは続かないので、症状全体も4日程度で改善

ノロウイルスによる胃腸炎は1年を通して発生していますが、特に冬季に流行します。
感染しても症状がない場合や軽い風邪のような症状のこともありますが、乳幼児や高齢者では重症化し、吐物を誤って気道に詰まらせ死に至ることもあります。

感染経路は?
ノロウイルスは感染経路が非常に多く感染しやすい感染症です。代表的な感染経路は以下の通りです。
<人からの感染>
・患者の便やおう吐物からの二次感染
・家庭や施設内などでの飛沫による感染

<食品からの感染>
・感染した人が調理などをして汚染された食品からの感染
・ウイルスの蓄積した、加熱不十分な二枚貝などからの感染

ノロウイルスの感染を広げないために
ノロウイルスは感染力が強く、ドアノブ、カーテン、リネン類、日用品など、見落としがちな場所からもウイルスが検出されます。感染者が使用したものや、おう吐物がついたものは、他のものとわけて洗浄・消毒します。消毒やふき取りには0.02%の濃度の塩素液(薄めたハイター(水2.5Lに25ml(キャップ約1杯))が有効です。

・おう吐物の処理には使い捨てのマスク、ガウン、手袋を使用してください
・感染がわかった場合は、出来るだけ食品を扱わないようにしてください
・タオルなどの共有はやめましょう
・食品をしっかり加熱し、調理台や調理器具も消毒する
・手洗いを徹底する

 

 3.コロナウイルス

コロナウイルスの症状は?
2019年12月、中国・武漢で原因不明の重篤肺炎が発生し、原因として新しいコロナウイルスが検出され、2020年2月11日、WHOは新型コロナウイルス感染症をCOVID-19と命名しました。その後、急速に全世界へ拡大し、現在も感染者数は増加の一途をたどっています。潜伏期間は1-14日(中央値5-6日)で、主な症状として、発熱、咳、息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)等があります。高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)等の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方は重症化しやすいとされ、特段の注意が必要です。現在は治療薬も徐々に開発されつつあり、ワクチン接種も進んできています。

感染経路は?
感染経路は感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の方がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染する飛沫感染があげられます。また、感染者がくしゃみや咳で手を押さえた後、その手で触れたものに、他の方が触れるとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ると粘膜から感染する接触感染の場合もあるので、むやみに顔を触らないようにしましょう。

コロナの対策でインフルエンザ患者が減少!?
2021年のインフルエンザ患者数は、過去3年間の平均の約1000分の1にとどまりました。インフルエンザだけでなく、感染性胃腸炎や水痘(みずぼうそう)、手足口病といった感染症も減少していることが報告されています。引き続き、日々の感染症予防・対策をしっかり行いましょう。

新型コロナウイルスワクチンの接種間隔は?
ソフトバンクグループでは新型コロナウイルスワクチンの職域接種も行われていますが、他のワクチンとの接種間隔はどのくらい必要なのでしょうか。原則として、新型コロナウイルスとそれ以外のワクチンは同時に接種不可となります。互いに、片方のワクチンを受けてから2週間後に接種可能となりますので、余裕をもってワクチンのスケジュールを組みましょう。

 

感染症対策

新型コロナウイルスを含む感染症対策の基本は「手洗い」や「咳エチケット」、「密を避ける」ことが大切です。
改めて正しい手の洗い方、正しいマスクの着用方法等を確認し、日々の予防に生かしていただければと思います。

 

正しい手洗い

人との接触を8割減らす「10のポイント」

職場内で行う「4つの対策ポイント」

 

 

最後に・・

新型コロナウイルスの終息に目途が立たず、少し感染対策に疲れてしまっている方も多いかと思います。今行っている感染予防の行動がコロナウイルスだけでなく、他の感染症予防にも繋がります。風邪症状がある場合は無理をせず外出を控え、新型コロナウイルスワクチンのみならずインフルエンザワクチンの予防接種も上手に利用し元気に冬を乗り越えましょう。