産業医 コラム

メンタルヘルス~コロナによる働き方の変化と心身への影響~

2021年4月2日

メンタルヘルスの健康度

コロナの影響により「人に会えない」「外出できない」状況が続いていますが、メンタルヘルス(心の健康)は保たれていますか。そもそも、メンタルヘルスと一口に言っても、何を指標に心の健康度を考えていけばよいでしょうか?

(1)夜ぐっすり眠れて、朝起きたとき気分が良い
(2)食事がおいしいと感じられる
(3)体が軽やかで、健やかに感じられる
(4)家族との会話もスムーズであり、問題はない
(5)友人や仲間との良好な関係を築けている
(6)趣味やスポーツなどを楽しむことができる

(1)~(3)は活動に要するエネルギーが充電されているか、(4)~(6)は心の外界(環境や人間関係)、心の内界(感情、欲求など)が機能しているかを表しています。体調と心は常に一体ですので、両面から心の健康度を捉えることが重要です。

 

職場のストレス要因(ストレッサー)

働く人々を取り巻くストレスには、以下のようにたくさんの要因があります。またコロナの影響により、テレワークやソーシャルディスタンスなどストレス要因が増えており、複雑化しています。

 

過度のストレスによる病的反応(ストレス反応)

過度のストレスにさらされてくると、人間はストレス反応という危機的な反応を示すようになります。
「身体面」・「精神面」・「行動面」で様々な症状が現れます。

 

コロナ禍におけるテレワークの導入状況

全国で約2万人にテレワークの実施率を確認したところ、2020年4月7日の緊急事態宣言後に約2.1倍増加しました。
また、従業員数が1万人以上の会社は約45%が実施しており、企業規模が大きいほどテレワークは実施率があがることがわかりました。

 

テレワークのメリットとデメリット

テレワークだと仕事がはかどる人、逆に集中できない人など人それぞれだとは思いますが、どのようなメリットとデメリットがあるでしょうか。

■メリット
・通勤時間や移動時間を削減できる
・自由な時間が増え、ワークライフバランスが整いやすい        
・場所の選択肢が増えることで働きやすくなる
■デメリット
・仕事とプライベートの時間の切り分けが難しい
・社内のコミュニケーションが減り、仕事の進捗が確認できない
・長時間労働になりやすい

 

テレワークによる心理的変化

リクルートマネジメントソリューションズ株式会社が、テレワークの実態調査を行ったところ、特に寂しさや疎外感、また上長に正しく評価してもらえるか不安に感じている人が多いことが分かりました。テレワークの場合、誰かにすぐに相談もできないので、益々孤独や不安が募ってしまうという現状があります。

 

テレワークにより増加したメンタルヘルスの相談

テレワークにより増加したメンタルヘルスの相談内容にはどのようなものがあるでしょうか。

■仕事の問題
・仕事の悩みを気軽に相談できない
・同僚や上司との関係がうまく構築できない
・上司から注意を受けた時、周囲のサポートが得難く追い込まれやすい
・曖昧な指示だと、どうしたらいいかわからなくなってしまう
■個人の問題
・子供が小さいと、仕事と育児の切り分けが大変
・一日、ほとんど動かないまま運動不足になっている
・眠れない、不安、ゆううつ気分、気力低下などの症状が出てきた
・仕事でのストレスを家族にぶつけてしまう

 

「ほうれんそう」から「かくれんぼう」へ

コロナ禍で働き方の変化に合わせ、テレワークの特性に合わせたコミュニケーション方法に転換する必要があります。今まで一般的だったコミュニケーション方法の「ほうれんそう」=「報告・連絡・相談」ですが、テレワークでは相談のタイミングがなかなか難しく「何かあったら相談してね」では、手遅れになります。そこで、テレワークの環境下では「かくれんぼう」=「確認・連絡・報告」に転換するとよいでしょう。相談ではなく、その日にやること、仕事の具体的な進め方など確認し習慣化することで、問題が発生した時も迅速に対応できるようになります。

 

ストレス耐性を高める3大要素

メンタルヘルスを保つために、ストレスを溜めないことがとても重要です。ストレス対策の基本はストレス耐性を高め、ストレス反応を起こさないようにすることです。「ソーシャルサポート」「ストレスコーピング」「リラクセーション・リフレッシュ」がストレス耐性を高める3大要素となります。テレワーク環境下でのストレス対策にはどのようなものがあるでしょうか。

 

おわりに

在宅勤務の環境下では、孤立しないことが大切です。ソーシャルディスタンスは広く、マインドディスタンス(心の距離)は近くでとるようにしましょう。職場の仲間や友人とオンラインで雑談の時間を設けるなど、自分にとってストレス解消となる方法をみつけましょう。