産業医 コラム

【8月の健康トピック】睡眠が体に及ぼす影響とは!?

2020年8月6日

 

眠りのメカニズム

夏は1年で一番寝苦しい時期ですが、十分に睡眠がとれていますか? 忙しくてついつい不足しがちな睡眠時間ですが、この時期は更に短くなりやすいと思います。今回は睡眠が体に及ぼす影響(役割)について考えます。わたしたちは毎日ほぼ同じ時刻に眠り、同じ時刻に目が覚めます。このような規則正しい睡眠リズムは疲労による「睡眠欲求」と体内時計に指示された「覚醒力」のバランスで形作られます。睡眠欲求は目覚めている時間が長いほど強くなりますが、いったん眠りに入ると睡眠欲求は急速に減少し、その人にとって十分な時間眠ると睡眠欲求は消失し、覚醒します。覚醒力は普段の就床時刻の数時間前に最も強くなり、その後メラトニンが分泌される頃(就床時刻の1-2時間前)急速に低下します。また、睡眠にはサイクルがあります。夢を見る「レム睡眠」と大脳を休める「ノンレム睡眠」が約90分周期で変動し、朝の覚醒に向けて徐々に始動準備を整えます。

睡眠の役割とは

睡眠の役割として、体を休め、眠気をとる(減らす)作用がある事は、良くご存知と思います。又、睡眠不足になると、注意力や集中力が下がりミスが増えることが知られており、アメリカスリーマイル島原発の事故やスペースシャトルチャレンジャーの爆発事故も、睡眠不足状態の作業員の判断ミスが原因と言う話は有名です。睡眠にはこの他にも色々な効果があることが少しずつ分かってきています。

 

【疲労や体の回復】

  • 成長ホルモンの分泌を促す

・新しい細胞を生み出し、新陳代謝を活発にする

・1日の中で、寝始めの90分に最も多く分泌される

・その時間帯の睡眠が、より深いほど多く分泌される

・疲れや傷などを早く修復させる

 

【記憶の整理と消去】

  • レム睡眠中

 起きている間に記憶した情報を整理・定着させる

  • ノンレム睡眠中

 過去に経験した「嫌な記憶」を消去する働きがある

 

【免疫力をあげる】

  • 免疫力の向上

・体を細菌やウイルスから守る防御機能を高める

コロナウイルス対策でも感染予防のために、睡眠が重要

・睡眠の質や量が低下すると免疫力も低下する

 →感染症やがんのリスクも高くなる

 

【自律神経を整える】

  • 交感神経

 日中に優位となり活動しやすくする

  • 副交感神経

・睡眠中優位となり、翌日の活動に備えるようになっている

・睡眠時間が短いと自律神経が乱れる

 →疲労の蓄積だけでなく、血圧上昇や便秘など体調不良につながる

睡眠障害と生活習慣病

以前より生活習慣病患者さんでは、睡眠時無呼吸症候群や不眠症の方が多いことが知られていました。その後の研究によって、睡眠障害が生活習慣病の罹患リスクを高め症状を悪化させることや、その発症メカニズムがわかってきています。例えば睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、夜間の頻回の呼吸停止によって「低酸素血症と交感神経の緊張」「酸化ストレスや炎症」「代謝異常」などの生活習慣病の準備状態が進み、その結果として5~10年後には高血圧・心不全・虚血性心疾患・脳血管障害などに罹りやすくなります。

良質な睡眠を得るために

睡眠を悪化させる生活習慣として、不規則な食事、運動不足、喫煙、アルコール多飲などが知られています。該当される習慣をお持ちの方はぜひできることから改善に取り組んでみて下さい。また、この機会にご自身の睡眠を取り巻く環境(寝具)、寝室内環境(温度、湿度、光、音)について見直してみましょう。

 

【寝具(枕、ベッドマット、布団)】

・枕の高さ:ベッドマットや敷き布団と首の角度が約5度になるのが理想的

・ベッドマット、敷き布団:適度に硬い方が良い

・掛け布団:保温性、吸湿性、放湿性、軽さ、フィット感

 

【寝室内環境(温度、湿度、光、音)】

・温度:夏場 約25℃~26℃ 冬場 22~23℃

・湿度:50%~60%

・光:遮光カーテンや天戸を利用し、光を遮断

・音:寝ている間は音楽等聴かず、できるだけ静かに

終わりに・・

健康だけでなく日々の生活や仕事に大切な睡眠は、人生のおよそ3分の1を占めていると言われています。新しい生活様式に変化をしているこの機会に、ぜひ睡眠について見直してみませんか?