産業医 コラム

メンタルヘルス~コロナと生きる今こそ周囲のサポートの大切さ~

2020年7月6日

メンタルヘルスの健康度

現在世界中に感染が広がっているコロナの影響で、メンタルが疲れている方も多いのではないでしょうか。世間では「コロナ鬱」「コロナ疲れ」といった言葉も使われているほど、メンタルヘルスを保つのが難しい状況です。そもそも、メンタルヘルスと一口に言っても、何を指標に心の健康度を考えていけばよいでしょうか?

(1)夜ぐっすり眠れて、朝起きたとき気分が良い
(2)食事がおいしいと感じられる
(3)体が軽やかで、健やかに感じられる
(4)家族との会話もスムーズであり、問題はない
(5)友人や仲間との良好な関係を築けている
(6)趣味やスポーツなどを楽しむことができる

(1)~(3)は活動に要するエネルギーが充電されているか、(4)~(6)は心の外界(環境や人間関係)、心の内界(感情、欲求など)が機能しているかを表しています。体調と心は常に一体ですので、両面から心の健康度を捉えることが重要です。

職場のストレス要因(ストレッサー)

働く人々を取り巻くストレスには、以下のようにたくさんの要因があります。また、コロナの影響により在宅勤務やソーシャルディスタンスなどストレス要因が増えており、複雑化しています。

【組織の問題】働き方改革と時間管理 ・ テレワークや在宅制度化 ・ 評価制度 ・ 自由意志や行動の制限
仕事自体の問題】量やスピード ・ 仕事の質の変化 ・ オフィスワークとテレワーク ・ 時間コントロール
【社内の人間関係】人間関係 ・ 上司との葛藤 ・ コミュニケーションの変化 ・ 一人作業の増加
【会社以外】家族の問題 ・ 育児・介護 ・ ライフワークバランス ・ ソーシャルディスタンス ・ 新しい生活様式
【キャリア】モチベーション ・ 将来への不安 ・ 退職や転勤

過度のストレスによる病的反応(ストレス反応)

過度のストレスにさらされてくると、人間はストレス反応という危機的な反応を示すようになります。「身体面」・「精神面」・「行動面」で様々な症状が現れます。 
【身体面】自律神経症状 ・ 心身症
【精神面】自情緒不安定 ・ 性格変化 ・ 精神障害
【精神面】勤怠の乱れ ・  業務遂行能力の低下 ・ 対人関係の悪化 ・ 日常生活の乱れ ・ 逸脱行動

ストレス耐性

ストレス耐性を高めることで、ストレス反応を起こさないようにします。ストレス耐性を高める要素には、下記3点があげられます。

  • ソーシャルサポート(人間関係)
  • ストレスコーピング(適切な認知行動)
  • リラクゼーション・リフレッシュ(環境改善・気分転換)

ストレス耐性を高める要素①(ソーシャルサポート)

良好な人間関係は、精神的に大きな支えとなります。ただし、職場においてはちょっと工夫が必要です。プライベートでは温かく・優しく・丁寧に接するように心がけますが、仕事では“ビジネスライク”を意識し、求められる役割をしっかりと遂行することが大切です。仕事でコミュニケーションを取る際は、“何が”問題なのか や “誰が”行うのかなど、主語・述語を明確にしましょう。また、日頃から報告を習慣づけると報告の流れで相談もしやすくなります。

またコロナウイルスの蔓延化でメンタルヘルスのあり方も、これまでとは違ったものになり始めています。テレワークにおいてこそ、周囲のサポートが重要です。顔を合わせる機会が減った今、コミュニケーションはこれまで以上に意識して構築していく必要があります。
【コミュニケーション対策】
・仕事を抱え込まず周囲の力を、より積極的に活用すること
・オンラインでの打合せ、飲み会など、表情が読み取れるような環境を作る
・家族との時間も増えるので、これを機に沢山会話をして、関係性を見つめなおす

ストレス耐性を高める要素②(ストレスコーピング)

ストレスコーピングとは、ストレスに対する対応の仕方です。

積極的ストレスコーピング(健康的な現実的問題解決)

⇒直面しているストレス状況(ストレッサー)を受け止め(適切な認知)、できることから取り組もうとしたり、協力を得られる仲間と話し合っていったりなど現実的な対処方法を行っていくことです。

消極的ストレスコーピング(逃避行動による問題解決)

⇒ストレッサーへの適切な認知ができず(認知のゆがみ)、適切な対処を行うことを避け、アルコール・喫煙・過食・過剰ショッピングなどの逃避行動をとることです。嗜癖(しへき)傾向に陥りやすく、依存症となってしまうこともあります。

【認知行動療法】
ストレスが過大な状態では余裕がなくなり、職場・家庭・学校の人間関係や環境からの刺激を適切に認知したり、対応することができなくなったりします。これに対して、より適切な認知や対処行動へと修正していく方法です。一般書も多く出ており、自分でも出来ます。

ストレス耐性を高める要素③(リラクセーション・リフレッシュ)

リラクセーションは、仕事の特性と反対の性質をもった趣味や楽しみがあると効果的です。

【リラクセーション法】

長時間のデスクワーク ⇒ エアロビクス運動

単純作業の繰り返し ⇒ 知的な趣味や娯楽

管理されすぎた職場環境 ⇒ 自然の中の散歩・スポーツ

退屈な仕事と低い評価 ⇒ 順位を争うような競技や娯楽

常に相手に合わせ続ける業務 ⇒ ひとりでできるような趣味や娯楽

クレーム処理 ⇒ 心落ち着くような趣味や娯楽

一人作業 ⇒ 社会性のある趣味や娯楽

終わりに・・

コロナの影響もあり心の健康を保つのが難しい状況ですが、ソーシャルディスタンスは広くとり、周囲との心の距離は近くでとりましょう。働く仲間同士、家族や友人と直接会えなくてもオンラインを活用するなど、これまで以上にサポーティブな関係づくりを積極的に行うことが大切です