産業医 コラム

花粉症・アレルギーについて~症状を悪化させないためにできることは?~

2020年1月7日

増え続けるアレルギー疾患

私たちの体には、自分の体の成分と違う物、例えば細菌、ウイルス、食物、ダニ、花粉などが体の中に入ってくるとそれを異物として認識して攻撃し排除する仕組みがあります。これを「免疫」と呼んでいます。アレルギー反応も広くは免疫反応の一部ですが、異物に対して反応する際に自分の体を傷つけてしまう場合をアレルギー反応と呼んでいます。

現在、我が国では国民の約二人に一人が、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、食物アレルギーなど何らかのアレルギー疾患に罹患していると言われており、国の調査でも増加傾向にあると言われています。

アレルギー反応の原因は様々です。主には、抗原提示細胞、リンパ球、好酸球、マスト細胞などの細胞と、IgE抗体、ヒスタミン、ロイコトリエン、インターロイキンなどのタンパク質や化学物質です。これらの要因が連携して、さまざまな種類のアレルギー反応を引き起こしています。

アレルギー疾患の中には、急激な症状の悪化を繰り返したり、重症化により死に至ったりするものがあり、職場や学校等のあらゆる場面で日常生活に多大な影響を及ぼしています。平成27年12月から、アレルギー疾患対策基本法が施行されました。国民病ともいえるアレルギー疾患の対策に、より一層の充実が切実に求められているのです。

今回は、代表的なアレルギー疾患である花粉症について説明します。

花粉症とは

花粉を原因として引き起こされるアレルギー反応による症状を花粉症とよびます。

 ■花粉症のメカニズム
 ①花粉などのアレルゲン(抗体)が鼻粘膜に付着
 ↓
 ②リンパ球がIgE抗体をつくり、IgE抗体が肥満細胞に張りつく
 ↓
 ③アレルギー症状を起こす原因となる化学物質(ヒスタミンなど)が分泌される
 ↓
 ④花粉をできる限り体外に放出しようとし、アレルギー症状が起こる

主に以下の症状を生じます。
【アレルギー性鼻炎】くしゃみ、水様性鼻みず、鼻づまり
【アレルギー性結膜炎】かゆみ、充血、涙など

そのほかに、のどの症状(かゆみ、刺激感)、咳、胃腸症状(痛み、下痢)、顔などの露出部皮膚の発赤、かゆみ、さらに頭重感、頭痛などの全身症状を訴える方も多く、日常生活に支障をきたします。

花粉の種類と地域差、シーズン予測

 花粉症を引き起こす植物は、日本では約50種類が報告されています。春に飛ぶ、スギやヒノキの花粉がよく知られていますが、夏から秋にかけて飛ぶ、イネ科植物やキク科植物(ヨモギやブタクサ)などの花粉でも症状が起こります。

また地域によっても飛ぶ花粉の種類や時期が違います。北海道ではシラカバ花粉によるものが多く、沖縄にはスギが全く生息しません。

毎年の花粉の飛散予測情報が、気象協会他から出ています。現時点の情報(2019年12月05日発表)では「飛散量は広い範囲で例年より少く、特に九州は非常に少ない。前シーズン比でみても、九州から東海は非常に少ない見込み」と発表されています。今後の情報や、花粉飛散時期には毎朝の天気予報もご参考ください。

花粉症の治療について

花粉症の対策の原則は原因物質の排除です。そのためには、花粉飛散情報を利用して外出や窓の開閉の工夫をして花粉曝露を避ける、マスクや眼鏡、花粉の付着しにくい帽子やコートの着用等を利用して侵入する花粉の量を減少させる、うがいや洗顔の励行、拭き掃除を心掛ける、など職場・学校・自宅の中に花粉を持ち込まない対策が重要です。

「アレルゲン免疫療法(減感作療法)」は、注射や薬を使って抗原を少量から徐々に増量しながら体内へ摂取、抗原特異的に過敏性を減少させる治療法で、根治的な治療法です。

もっとも広く行なわれているのは「薬物療法」です。いろいろな特徴をもった薬剤がありますので、症状に合わせて使うことで高い効果がみられます。花粉症の症状の出現前・ごく初期に治療を開始すると粘膜の炎症の進行を止め、早く正常化させることができるため、花粉症の重症化を防ぐことができます。ただあくまで症状を抑えるもので、治療の継続が必要となります。

花粉症がひどくならないために

一般的に花粉症がひどくならないためには、普段の生活のなかで、以下のようなことに気をつけると良いでしょう。

・睡眠をしっかりとる
・規則正しい生活をする
・バランスのよい食事をとる
・手洗いやうがいの励行
・お酒の飲みすぎに気をつける
・タバコを控える(粘膜を正常に保つために重要です)
・アレルギー血液検査などを受け、自身のアレルギーを知っておく(耳鼻科や内科で受診可能です)

最後に・・

症状が出てきたら、早めに医療機関を受診した方が症状の改善につながります。今まで大丈夫だった方も突然発症することもあり注意が必要です。「自分は大丈夫」と思わず、今から免疫力を高める工夫をし、春先も快適に過ごせるようにしましょう。