カウンセラー コラム

人事評価の結果をストレスにしない!3つの対処法で成長のチャンスにしよう

2021年12月1日

会社で働く人の不満や悩みはいろいろありますが、「自分は正当に評価されていない」と人事評価の結果に対する不満や悩みを持つ人は少なくありません。日々、一生懸命働いているのですから、「正当に評価されたい」と願うのは自然なことですし、そう感じられなかった場合、ショックを受けるのも当然かと思います。

ただ、いつまでも過去の評価に対する怒り・憎しみの感情や、未来の評価への恐れが継続すると、会社や人事、上司への不信感につながり、仕事のモチベーションの低下、自己成長の阻害、自己肯定感の低下、メンタルヘルス不調につながることもあります。

そこで今日は、対処のヒントをお伝えします。

 

【評価の満足度】

2021年度9月に発表された(株)パーソル総合研究所の調査データ(※1)によると、評価の結果に「不満」「やや不満」と回答した割33.2%、「どちらともいえない」と回答した人は44.3%、「不満ではない」「あまり不満ではない」と回答した人は22.4%となっていて、約3人に1人はなんらかの不満を抱えている様子が伺えます。そして評価の結果を肯定的に捉えている人はなんと約2割と、あまり多くない状況のようです。

※1「人事評価制度と目標管理の実態調査」パーソル総合研究所

人事評価に関する不満や悩みの中身は、「そもそも上司が信頼できない」「設定された目標のレベルが高すぎる」「評価結果の背景や根拠の説明がされない」など様々で、複数の要因があるケースが少なくありません。大きく分類すると「上司のマネジメント」に関する要因と「人事制度の仕組み(プロセスや基準など)」に関する要因に分けられそうです。
もちろん、基本的なこととして、上司が部下の業務を把握し、評価の根拠を具体的に伝わるよう説明すること、組織として適切な人事評価制度を構築することは重要です。

その上で、メンバーが評価結果に不満を持つ原因を考えてみると、根本には「自己評価の結果」と「上司評価の結果」にギャップがあり、そのギャップを埋めきれないために不満や悩みが生じていることが多いのではないでしょうか。

 

では何故、自己評価と上司評価の結果にギャップが生じてしまうのでしょうか。

ここで興味深い研究結果を紹介したいと思います。米国を中心に数多く行われてきた研究では、「あなたは同じ仕事をしている同僚と比べて、自分の能力はどの程度だと思いますか?」という問いに対して「1.平均よりかなり下、2.平均よりやや下、3.平均程度、4.平均よりやや上、5. 平均よりかなり上」の5つの選択肢を回答してもらった結果、ほとんどの人が4か5を選択することが報告されています。このような現象は「above average effect(平均点以上効果※2)」と呼ばれています。日本では風土や文化の影響から「能力が高い」ということより、「真面目に働いている」「誠実に仕事に取り組んでいる」ことに価値を置く傾向があり、その点では「平均点以上効果」が見られるとのことです。どうやらそもそも自己評価は高くなりやすいようです。

※2 アメリカの心理学者 David Mayerが2015年に提唱

皆さんの自己評価は甘いのではないかということを言いたい訳ではありません。ただ、多くの人が自分の能力や業績などをポジティブに評価する傾向がある、と知ることで自己評価と上司評価のギャップを冷静に捉えなおすことは、評価と向き合う上で大切な姿勢と言えるかもしれません。

 

【3つの対処法】

その上で、もしあなたが自己評価の結果と上司の評価のギャップに悩んでいるなら不満や悩みを抱えてたままにしないで、3つの対処法を試してみてください

 

1.上司とコミュニケーションを取り確認してみる

・自分の期待役割(ミッション)や期待成果(貢献内容)、期待行動は何か
・どのような事実に基づいて評価しているのか
・自分の行動や取り組みが周りにどのような影響を与えているのか(良い点と改善点)

特に最後の項目は重要な情報です。何故ならば自分が良かれと思って取り組んだことや、日々の言動が場合によっては良い影響を与えていなかったり、期待値に届いていない場合もあるからです。時に耳の痛いフィードバックをもらうこともあるかもしれませんが、見方を変えればそこにギャップを埋める重要な課題があるかもしれません。

ここまで読んでいただいた方の中には「そんなことはわかっている」「上司と話したけど納得のできる話はできなかった」と怒り、悲しみ、諦め、不安など様々な気持ちがなかなか解消できずにいらっしゃる方も少なくないかもしれません。

そこでもう2つ対処方法をご紹介します

 

 2.人事評価から少し心理的な距離を置き、日々の積み重ねを丁寧に行う

半期ごと、年度毎の評価を気にするのではなく、具体的には日々の仕事の振り返りを丁寧に行い、上手くできたことを自分で評価し、失敗は学びに変え成長につなげる作業を行います。周りの人の助言や感謝の言葉を時々取り入れ、そのことを日々積み上げていくのです。あなたは今日も誰かの何かの役にたっている仕事をしていますし、日々少しづつ成長しているのではないでしょうか。過去や未来に振り回されるのではなく、今に集中し貢献感や成長感を積み上げていくのです。

 

3.相談してみる

評価の悩みは家族や友人、同僚にも相談しにくいテーマでもあります。私達カウンセラーは評価の結果を変えることはできませんが、皆さんの気持ちを受け止め少し軽くしたり、客観的な捉え方や、上記のような丁寧な作業の積み上げをご一緒に考えるお手伝いをしています。よろしければ、気軽に相談にいらしてください。

人事評価制度は給与や等級などの処遇を決める仕組みと捉えられていますが、別の見方をすると会社や上司とのコミュニケーションツールとも言えます。
上司の皆さまは、経営と社員を繋ぐ重要な役割として、組織やメンバーの成長に繋がるような活用方法をしっかりと考え、メンバーは自分への期待や貢献内容、成長課題を知るチャンスとして有効活用できるよう、この機会にじっくり向き合ってみませんか。

 

【参考文献】
・「自己評価はなぜ甘くなるのか」 リクルートマネジメントソリューションズ(株)今城志保